2012/9/26 公開
2022/3/2 改訂


目次へ

表紙へ

古今狂歌袋
(前編)へ戻る


   古今狂歌袋 (ここんきょうかぶくろ)一册      後編(30~55丁)
  Kokonkyoukabukuro [picture book] 
            角書  天明新鐫(てんめいしんせん)百人一首

北尾政演(山東京伝)画  宿屋飯盛(石川雅望)撰  蔦屋重三郎刊
 天明七年(1787年)

原データ 跡見学園女子大学図書館 百人一首 コレクション
画像データベース 古今狂歌

       


        
 (30)
   
奈良花丸(ならのはなまる)
 とりすかる 手綱も
   きれし はなれ馬
  くちの こハかる
   返事のミして

   尾木女
  人まつハ けにも
    くるしや
   くる糸も
   わくせくとのみ
   思ひミたれて
 
  人待つはげにも苦しや くる糸の
        わくせきとのみ思ひ乱れて
 (歌意)恋人が今来るか来るかと待つのは実
 に苦しいことだな。糸車を繰るように、クル
 クルと想い乱れて落ち着かない。


*わくせき 「あくせく」の転。せかせかして落ち
 着かないさま。
*くるし 苦し。 糸を繰る。人が来る。
○伊勢のうみ波のよるよる人待つと
     くるしきものは海士のたく縄
     正治初度百首 宜秋門院丹後

  取りすがる手綱も切れし放れ馬
        くちの怖がる返事のみして
(歌意)私が恋い焦がれる女は、まるで縋り
 つく手綱も切れた放れ馬のようだ。老い朽
 ちていく私を打ちのめすような言葉だけを
 残して行ってしまった。
(女を放れ馬にたとえ、老いらくの恋を嘆く。)

*取りすがる・手綱・切れる・放れ馬・馬の口
 縁語。
*口と朽ち 
○取りすがる恋の奴に慕はれて
     立ち止まりぬる旅衣かな
       林葉集 俊恵 (1113~?)

*奈良花丸(ならのはなまる・出雲寺
 和泉掾) 日本橋狂歌;本所連、後万
 載入;



*尾木女 不詳


 (31)
   
多田人成(ただひとなり)
 松かえに
  はひかゝりたる
    藤のはな
  春と夏とを
   またきてそさく

   
智恵内子 (ちえのないし)
  山姫も 冬ハ氷の
  はりしこと
  瀧つせぬひや
  とつる布引
   山姫も冬は氷の針仕事
        滝つせぬひやとづる布引
(歌意)山姫も冬は氷の針で針仕事。滝の流れを氷
 の針で背縫いにしたので、布引の滝は止まって
 しまった。

*山姫 山を守り、山をつかさどる女神。
*滝つ瀬 滾つ瀬 滝に同じ。 
*せぬひ 狭縫い 背縫い
*布引の滝 神戸市の東部、布引山中の生田川
 にある滝。
*布・針仕事・背縫い・綴じる。裁縫の縁語。
○裁ち縫はぬきぬ着し人もなきものを
    なに山姫の布晒すらむ
       古今集17 伊勢
○裁ち縫はぬ紅葉の衣染めはてて
     なに山姫の布引の滝 
       建保名所百首 順徳院

  松が枝に這いかゝりたる藤の花
       春と夏とをまたぎてぞ咲く

(歌意)松が枝に這い掛かっている藤の花。
 今まさに春と夏とをまたいで美しく咲いて
 いる。

○(本歌)何方に匂ひますらむ藤の花
      春と夏との岸をへたてて
          康資王母 千載集

*多田人成(ただひとなり)
 「吾妻曲狂歌文庫」入。


智恵内子(ちえのないし)狂歌師
 元木網の妻。名は金子道(一説す
 め)。節松嫁々(ふしまつの-かか)
 と共に女性狂歌師を代表する作
 者。その歌は『狂歌若葉集』
 『万載狂歌集』をはじめ、多く
 の集に入っている。
 (1745~1807)



 (32) 
   
 腹唐秋人(はらからのあきんど)
  (みづがし)の大将
   こそミえにけれ
   こかね つくりの
   たち花の色


   
花江戸住(はなのえどずみ)
 こゝろほそく
 住る山家ハ
 あらしまて
 たゝ一軒を
   あてにしてふく
  心細く住める山家(やまが)は嵐まで
        ただ一軒をあてにてし吹く

(歌意)山家の閑居住まいは平素は静かでよい
 が、一旦激しい嵐が吹けば嵐はこの一軒だけ
 を目標に吹き捲る。恐ろしいことだ

 (風流は不便さと隣り合わせ。)

*嵐・荒し 

   菓(みずがし)の大将とこそ見えにけれ
          黄金作りの橘の花の色
(歌意)柑橘類の実は果物の大将と見えること
 だなあ。橘の花は黄金作りだ。


*底本は「闖秩iこう)」。「菓」の誤りか。
「菓」「みづぐわし・みずがし」又は「くだも
 の」と読ませるか。
*水菓子「今世は果実の類を京阪にて和訓を
 もってくだものと云ひ、江戸にては水ぐわし
 と云ふなり。これ干菓子・蒸し菓子等の制あ
 りて、この類をただに菓子と云ふことなりし
 により、これに対して果実の類はみづ菓子と
 云ふなり。」近世風俗志(五)
*橘 食用柑橘(かんきつ)類の総称。出典「橘
 者果子之長上。人之所好。」橘は果物の中で
 最上のもの。人々の好むところ。続日本紀

*腹唐秋人(はらからの あきんど)
 董堂(とうどう)。春星。通称
 中井嘉右衛門。狂歌を大屋裏住に
 学び、本町側に入る。
 狂詩を善くし「本町文砕」の著
 あり。(1758~1821)


*花江戸住 (はなの-えどずみ)
 江戸時代中期-後期の狂歌師。
 江戸京橋の南にすみ、鹿都部真
 顔等と共に「狂歌江戸紫」の選
 者となった。
 姓は山口。通称は政吉。別号
 霞谷蔭,万亀亭。(?-1805)




 (33)
   京並織主
  長かりし
  夏も過ゆく
  日のあしを
  すこしかゝめて
    秋へふみ月


   
一富士二鷹(いちふじにかた)
  あふ宵に くひし
  たまこの むくふてや
  われにかへれと
   鶏ハ鳴らむ
   逢ふ宵に喰ひし玉子の報ふてや
        我に返れと鶏は鳴らむ
(歌意)女と逢う宵に喰った玉子の報いとは。
 鶏に早く起こされて、おまけに「我に返れ」
 と鳴かれるとは。獣(しし)喰った報いとは
 云うけれど、まさか玉子を喰った報いとは
 ねぇ。

*鶏の古名は「かけ」。神楽酒殿歌には「に
 はとりはかけろと鳴きぬなり。起きよ起き
 よ」の例が見られる。かけろ返えろと聞こ
 えたか。又、鶏の鳴声を「東天紅(トウテン
 コウ)」と表現。
落語ではコケコッコウを
 「トッケイコウ」「取っ換えよう」とかける。
○卵を焼き煮たるものは必ず灰地獄に堕つ
 殺生を戒めたことば。今昔物語二十・三
 十善悪因果経。『霊異記』中巻「常に鳥
 の卵(かひご)を煮て食ひて以て現に悪
 死の報(むくひ)を得し縁第十」。
○獣食った報い 悪事をしたために自分
 の身に受けるむくい。
*折句か。「あくむあと(悪夢(の)後」

   長かりし夏も過ぎゆく日の脚を
         少しかゞめて秋へふみ月
(歌意)長かった夏も過ぎて日脚も少しかゞめ
 て短くなった。今日は秋へ踏み込む文月
 (ふみづき)。


*日の脚 物の間からさして来る日光。日影。
*踏みとふみづき(文月)。陰暦七月の異称。
 ふづき。
*脚・屈め・踏み 縁語。

京並織主 詳細不明。挿絵の織主
 は片手に短冊、もう片方に砧を打
 つ木槌をもっている。後方に織っ
 た布が巻かれている。


*一富士二鷹(いちふじにたか)
 三尺庵。通称藤田甚助。江戸橋
 本町に住す。四方赤良社中。




 (34)
   
加部仲塗(かべのなかぬり)
  田子の浦に
  うち出てミれは
  そのゝちの
   宝永山も
   雪ハふりつゝ

     
池田正式(いけだまさのり)
  かたミこそ
   今ハあたなれ
  なき親のゆつり置れし
       貧乏の神
   形見こそ今はあだなれ亡き親の
        讓り置かれし貧乏の神
(歌意)形見こそ今はあだ(仇)となってし
 まったことよ。亡き親の譲り残された貧乏
 神には。


○(本歌)形見こそ今はあだなれこれなくは
      忘するる時もあらましものを
    伊勢物語(119段 ) / 古今集(十四)
           読人不知 
  田子の浦にうち出て見ればそのゝちの
       宝永山も雪は降りつゝ
(歌意)赤人は「田子の浦に打出てみれば白妙の
 富士の高嶺に」と詠ったが、今はその後に出来
 た宝永山にも雪が降っていることだなあ。


*宝永山 富士山南東側の中腹にある寄生火山。
 宝永四年(1707)爆裂のため一山峰を形成した
 もの。

○(本歌)田子の浦にうち出でてみれば白妙の
        富士の高嶺に雪は降りつつ 
       山部赤人 新古今集冬・675

加陪仲塗(かべの なかぬり)
 江戸中期の狂歌師。通称河合
 安右ヱ門。師は四方赤良。
 江戸赤坂に住す。
 天保3年(1832)歿、64才。
 (一般に左官の棟梁なり。故に
 此号ありと)


*池田正式 (いけだ-まさのり)
 江戸前期の俳人,狂歌師。大和
 (奈良県)郡山藩士。安原貞室、
 松永貞徳に学ぶ。松江重頼の
「毛吹草」を非難して正保3年
「郡山」をあらわした。
 のち浪人し狂歌に転じた。
 狂号は平群実柿(へぐりの-さねが
 き)布留田造(ふるの-たつくり)。
 著作に「あやしぐさ」「堀河百
 首題狂歌集」など。



 (35)
     
釈氏定規(しゃくしじょうぎ)
 我恋ハ 人目の関の
  かさり弓
 手つるハ あれと
   はなすまもなし

    
筏丸木(いかだのまるき)
   物干しの
   干しあへぬ
    袖もあるものを
   しつくはかりも
     なさけかけ竿
  物干しの干しあへぬ袖もあるものを
          滴ばかりも情けかけ竿
(歌意)物干しに干せない袖もあるものだ。
(七夕の牽牛と織り姫のように、一年に一度
 でいいから、)ひとしずくの情けをかけて
 もらって、二人の涙で濡れた袖を掛竿に
 干したいものよ。

○袖纏(ま)き干す 共寝して、涙に濡れた
 袖を干す。
*「情けをかける」の「かけ」と「掛竿」
 の「掛」が掛詞。
○佐保姫の袖も干しあへぬ頃なれや
      晴れぬ霞のころも春雨
   足利義教 永享百首

  我が恋は人目の関の飾り弓
      手づるはあれどはなす間もなし
(歌意)我が恋は人目の関の飾り弓。
 手づるはあるのに人目があるので矢を射る
 ことも出来ない。所詮絵空事とは分かって
 いても恋の矢を射てみたいものだ。

*人目の関 人目が妨げとなって思うにまかせ
 ないことを、関所がみだりに人を通さないこ
 とにたとえていう語。
*弓・弦が縁語。
○あなわびし人目の関をこえわけて 
   みちをわするるときのまそなき 
         仲文集 

*釈氏定規( しゃくし-じょうぎ)
 江戸時代中期-後期の狂歌師。
 浄土真宗の僧で,江戸数寄屋橋に
 すむ。編著に「狂歌駿河(するが)
 細工」。別号に根来庵。
 ( ?-1798)

*筏丸木(いかだのまるき)
  狂歌;1787「才蔵集」入。




 (36)
   入安(にゅうあん)
  力もち 荷もち
  かちもち
    つよかりし
  そのこしかたに
    なすよしもかな

    勘定疎人(かんじょうのうとんど)
 寒中の 薬くひとて
 かふ鹿の
 ねをきくも
 またあハれなりけり
 寒中の薬喰ひとてかふ鹿の
       ねを聞くもまた哀れなりけり

(歌意)寒中の薬喰い用として買った鹿の値
(値段)を聞くも涙だったが、飼っている時に
 鹿が鳴く声を聞けばまた哀れを催すことだ。


*薬食い 寒中の保温・滋養のために獣肉を食
 べること。

*ね 値と音
*かふ 買ふ・飼ふ。
 力もち にもち かちもち 強かりし
      そのこしかたになす由もがな
(歌意)力餅・煮餅・勝ち餅(力持ち・荷持ち・
 徒(荷)持ち)「こしが強い」ことだ。その
 「こし」方があればいいのになあ。

*もち・もち・もち と同音を三回重ね餅の粘り
 を表す。
*よし‐も‐がな(由もがな)

*入安 入安狂歌百首 ( にゅうあん
 きょうかひゃくしゅ) 寛政二


*勘定疎人(かんじょうのうとんど)
 疎人(うとんど・勘定、狂歌)花島は
 なじま平蔵) 江中期江戸深川土橋
 の狂歌作者、1785徳和歌後万載/87
 才蔵集/新玉集/俳優風などに入。




 (37)
     
如水(じょすい)
  打ちつける いへは
  かしらをふる釘の
  きかぬつらさそ
     身にこたへぬる


    
呉竹世暮気(くれたけよぼけ)
 いとハれて
  玉のうてなに
  すまんより
   瓦となりて
    君とくだけん
 厭はれて玉の高殿(うてな) に住まんより
         瓦となりて君と砕けん
(歌意)「瓦となって全からんより玉となって
 砕けよ」とは云うものの、私の場合は、仮に
 御殿に住み、そこで厭われて暮らすよりは、
 平凡な暮らしであろうとも、君と一緒に暮す
 ことが出来れば、たとえ瓦となって砕け散っ
 ても悔いはないのだ。

(「瓦となって全からんより玉となって砕けよ」
 の故事成語のパロディー)
*瓦 瓦の意とと骨(かわら)。骸骨。
○瓦となって全からんより玉となって砕けよ 
 出典北斉書 元景安伝「大丈夫寧可玉砕不能瓦
 全」
(男子たる者は、名誉のために死ぬことはあ
 っても、いたずらに生き長らえるだけのつまらない
 生涯を送りたくはない。)

*玉砕。玉が美しく砕けるように、名誉や忠義を
 重んじて、いさぎよく死ぬこと。
瓦全
*瓦全(が‐ぜん) 何もしないでいたずらに身
 の安全を保つこと。甎全(せんぜん)。
玉砕
  打ち付ける家はかしらをふる釘の
         効かぬ辛さぞ身にこたへぬる

(歌意)(歌意)古屋を修理して釘を打付けるが
 古釘の先が効かない。釘の効かないほどのあば
 ら屋に住む辛らさは身に堪(こた)えるなあ。

*「頭を振る」と「古釘」の「古(ふる)」が掛詞。

*如水  清水如水(しみず-じょ
 すい)のことか。 清水如水は江
 戸時代前期-中期の狂歌師。江戸
 横山町にすむ。歌作のほか,鈍刀
 で瓢(ひさご)に彫刻するのを得
 意とした。別号に藤根堂、迷淵蟠
 鯰侯(1656-1728



*呉竹世暮気(くれたけよぼけ)
 
巴扇堂世暮気( はせんどう-よぼ
 け江戸時代後期の狂歌師。江戸の
 人。巴扇堂初代。寛政10年「昔噺
 赤本狂歌」を刊行。姓は大塚。
 ( ?-1820) 



 (38)
  よしのゝ葛子(くずこ)
 禿菊うつろふ
  色のよし原に
  花の(まがき)
   すかゝきもあり
 
 
  
 
盃米人(さかづきのこめんど)
 いふしたて
 さはかりなさけ
 なく蚊より
 なかぬ涙そ先
 こほれける
   燻し立てさばかり情けなく蚊より
        泣かぬ涙ぞ先こぼれける
(歌意)蚊遣に燻され、たいそう情けなく鳴く
 蚊の羽音よりも、泣かないぞと、声を押し殺
 して我慢している私の方が、なぜか涙が先に
 こぼれるのだ。
 (自分の泣き声を、蚊の鳴き声と比較する
 滑稽さ。)


*いぶし(燻し) 蚊やり。
*なさけ・なく・泣かぬ・涙
 頭韻を揃える。

    禿菊移ろふ色のよし原に
       花の籬も簀垣もあり
(歌意)禿菊の色が美しく輝く色の吉原に、
 花の籬 もあれば簀垣もあり。
(吉原には佳麗な遊女を眺める籬、三味線
 の菅垣の曲もあり。華やかで素晴らしい
 けれど、幼い禿も禿菊の花のようにすぐ
 に色褪せ、移ろい行くものですよ。
(廓遊びする夫への嫌味か。)

*禿 夫・天神などの上級の遊女に使われる十歳
 前後の見習いの少女。
*まがき(籬)(1)竹・柴などを粗く編んで造っ
 た垣。(2)遊郭で、店と入口の落間(おちま)と
 の間の格子戸。
 (3)「まがきぶし」の略。まがきぶし(籬節)
*すががき(清掻・菅掻・菅垣)(1)和琴(わご
 ん)の奏法の一。(5)江戸吉原で遊女が張見世
 に出る時、その合図に弾いた三味線の曲。
 見世清掻。
*映ろふと移ろふを掛ける。

*芳野葛子(よしののくずこ・山道高
 彦妻)→ 葛子(くずこ・吉野、狂歌;
 江戸小日向水道端天神下に住、狂
 歌小石川連:智恵内子門、「徳和歌
 後万載集」「狂歌才蔵集」入。
 挿絵の化粧する芳野は平安朝風
 の姿。鏡に顔をうつして小野小町
 の「花の色はうつりにけりな」の
 歌を効かせているようだ。


*盃米人 酒月米人(坂月-さかづき
 のこめんど) 米人(こめんど)江戸
 時代中期-後期の狂歌師。四方赤
 良(大田南畝の門下となる。四方
 側の有力判者のひとり。別号に狂
 歌房、吾友軒、四方滝水など。
 狂名は「よねんど」とも読む。
「観難誌」著。編著に「狂歌東来
 集」など。




 (39)
    
土師掻安(はじのかきやす)
 のとかなる
 日のあししろも
 さしかねや
 柳の原に
  川の水もり

    高田資之
  君か心
  いよいよ我に
  ほとけぬハ
  むすふの神を
     いのりすきたか
    君が心いよいよ我にほどけぬは
        結ぶの神を祈り過ぎたか
(歌意)君が心、ますます私に打ち解けないのは
 結びの神に祈り過ぎたか。なかなか打ち解けな
 い君が心が恨めしい。


*むすぶ‐の‐かみ(産霊の神)(「結の神」と
 当てる) 男女の縁を結ぶという神。
*むすぶ。とける。対句。

○霜の上に降る初雪のあさ氷
    解けずも見ゆる君が心か 
     古今和歌六帖 
  長閑なる日の足代も差金や 
        柳の原に川の水もり

(歌意)日が差込み、のんびりと安心して暮
 らせる家を建てるには、しっかりした準備
 と差金が大切だ。柳原の水守も同じ事だな。
 水害を防ぐ基は差金だ。


*足代 (1)高い所へ登るため材木を組み立て
 て造った仮設物。あしば。あしがかり。
 (2)基礎。準備。下ごしらえ。
*差金(「指矩」とも書く) 「まがりがね(曲
 尺)」
○指金無くては雪隠も建たぬ。
○ 規矩によらずんば、小事も成らず。
*足代・差金・指矩・水盛(準) 水漏(れ)・
 水守 縁語。
*柳の原 江戸時代柳原土手と言われ、古着
 屋が立ち並んでいた。

*土師掻安(はじのかきやす)初
 号菊泉亭。通称榎本治右衛門。
 天明年間の狂歌師。(~1788)


*高田資之不詳




 (40)
     臍穴守(へそのあなぬし)

  桜木に
    何の意恨か
  雨風のふみちらしたる
    落花狼藉


    山道高彦(やまみちのたかひこ)
 養由(ようゆう)にあらねと
    秋のたつか弓
   柳の一葉
     射て落しけり
   養由にあらねど秋の手束弓(たつかゆみ)
           柳の一葉射て落しけり
(歌意)養由のような弓の名人ではないけれど、
 手束弓を引いて柳の一葉を散らして秋の訪れ
 を感じることだ。


*養由 養由基(ヨウユウキ) 春秋時代、楚ソの人。
 弓術の名人。百歩離れた所から柳の葉を射当
 てたと伝えられる。
「秋の立つ」と「たつか弓」の「たつ」が掛詞。
   桜木に何の遺恨か雨風の
       踏み散らしたる落花狼藉
(歌意)桜木に何の恨みがあるのだろうか。
 雨風が桜の花を踏み散らした狼藉のあと。


(徳川幕府の諸種出版物取締や筆禍事件をさ
 すものか。桜木は江戸時代,版木に使用し
 た。
 参照浮世絵文献資料館 筆禍史 
 宮武外骨著)
*「落花狼藉風狂後、啼鳥竜鐘雨打時=落花
 狼藉タリ風狂ジテ後、啼鳥龍鐘(りょうしょ
 う)タリ雨ノ打ツ時」。
「残惜春」『和漢朗詠集』大江朝綱の漢詩。
*臍穴主( へその-あなぬし)江戸
 中期-後期の狂歌師。安永-天明
 (1772-89)のころの人。江戸牛込
 赤城下の名主。四方(よも)側の作
 者。姓は渡瀬。通称は庄左衛門。
 別号に古金見倒。俳号は川鯉。

*山道高彦  江戸時代後期の武士、
 狂歌師。田安家の家臣。江戸小石
 川牛天神下にすむ。元木網の社中
 に属し,小石川連をおこした。
 大田南畝らと交遊があった。去。
 姓は山口。通称は彦三郎。別号に
 馬蘭亭。巴蘭亭。編著に「狂風大
 人墨叢」。(?-1816)

 
最上段へ




 (41)
 
     
柳原向(やなぎわらむこう)
 名のいりし
 源氏の恩や
 わすれけむ 
 光を尻に しける蛍は
   

     
辺越方人(へこしのかたうど)
 林間に 酒あたゝめん
      初物の
 ひとしほ
  紅葉さかなとも見て
   林間に酒温めん初物の
      ひとしほ紅葉さかなとも見て
(歌意)林間に酒を温めて、初物の一際見事な紅
 葉を肴と見て、酌み交わそう。
 (初物のもみじ(鹿の肉)に薄く塩を引いて、
 それを肴に酌み交わそう。)


*林間煖酒焼紅葉=林間に酒を暖めて紅葉を焼
 (た)く」風流を愛すること。(白居易)
*紅葉・黄葉 「もみじば」の略。鹿にはもみ
 じが取り合されるところから) 鹿の肉。
*一入 一塩
    名の入りし源氏の恩や忘れけむ
        光を尻にしける蛍は
(歌意)源氏の名を戴いた源氏蛍はその恩を
 忘れたのだろう。光源氏の光を尻に敷いて、
 繁く光を点滅させながら飛び交っている。
 (源氏名の遊女は光源氏の恩を忘れたの
 だろう。光源氏を忘れて今日も源氏蛍のよ
 うに盛んに情を交わしている。)


*しける こっそり入り込む。遊所や情人の
 もとへ行くにいう。
*しげる 繁る しっぽりと睦み合う。同衾して
 情事をおこなう。

*敷(き)ける
*柳原向 やなぎわら-むこう ?-?
 江戸時代中期の狂歌師。天明の頃
 の狂歌壇のひとり。江戸下谷三味
 線堀に住み,伯楽側の判者となっ
 た。別号に楊柳亭,春風堂。


*辺越方人(へこしのかたうど)
 → 方人(かたうど・辺越、佐野屋
 七兵衛/狂歌)方人(かたうど・辺越
 へこし、初号;海老船守えびのふね
 もり、佐野屋七兵衛) 魚商/狂歌詩
 ・赤良門、「後万載」/「才蔵集」/「吾
 妻曲狂歌文庫」入;[棹姫のお入と
 みえてむらさきの霞の幕をはる
 の山々](?ー1787)



 (42)
    
    
豊年雪丸(ほうねんゆきまろ)
 十五夜と
  今宵の
 月は二幅対
 かけたところも
   また見事なり

     
高利刈主(こうりのかりぬし)
 雨はれて染屋か門に
 ほす布ハ
 空にしられぬ
  軒の玉水

   雨晴れて染屋が門に干す布は
      空に知られぬ軒の玉水
(歌意))雨晴れて染屋の門に干す布は、空も
 知らない軒の玉水を乾かしているの。
 (共寝して涙で濡れた袖を干しているの。
 染屋の門に干しているから誰にも分からな
 いと思うけれど。知らないふりをしてね。)

○春雨の降るとはそらに見えねども
     きけはさすかに軒の玉水
    後鳥羽院宮内卿 玉葉集夫木和歌抄
*玉水 軒先から落ちる雨だれ
 井出の玉水(伊勢物語122によって男女の
 契りの頼りなさに譬えられる。)

   十五夜と今宵の月は二幅対
     かけたところもまた見事なり
(歌意)十五夜も今宵の月(十三夜)も月の
 美しさは格別。二回の月見は二幅対。
 先月の満月も今宵の欠けた月も共に素晴ら
 しい。
 (廓で十五夜の月見をしたら後の月(十三夜)
 に行かぬは粋ではない。二回の月見は二幅
 対。
 片見月は遊女に嫌われるどころか男の恥。)


*かける 掛ける。欠ける。
*江戸時代の遊里では、十五夜と十三夜の両方
 を祝い、どちらか片方の月見しかしない客は
 「片月見」または「片見月」で縁起が悪いと
 遊女らに嫌われた。二度目の通いを確実に行
 なうために、十五夜に有力な客を誘う(相手
 はどうしても十三夜にも来なければならない
 ため)風習があった。
月見wikipedia
*豊年雪丸(ほうねんのゆきまろ、
 松月庵、市橋助左衛門)尾張藩士、
 名古屋狂歌;酔竹連、1815雅望「飲
 食狂歌合」参、「才蔵集」「狂歌部領
 使」「上段集」入、「吾妻曲狂歌文
 庫」入。[年の坂のぼる車のわが
 よはひ油断をしても跡へもどら
 ず](?ー1821)


*高利刈主(こうりのかりぬし) 本
 所一ツ目御旅所茶屋主人、狂歌;両
 国連、東作「百鬼夜狂」・才蔵集入;
 [虫入の琥珀とみゆる手水鉢
 氷の中にひと葉南天](才蔵集)




 (43)
    麓近道(ふもとのちかみち)
  一合より九合
  かぎりの 富士をミて
  なとさんごくの
    山といふらん

   
紀躬鹿(きのみじか)
 風と出て 風と
 きえやすきよの人ハ
  ふきしさぼんの
    あハれはかなや
   風と出て風(ふ)と消えやすき世の人は
     吹きしサボンの哀れ儚(はかな)や
(歌意)風のようにふと出て、いつの間にか消
 えてしまうような世の人は、まるで吹かれた
 シャボンの様に哀れで儚いものだなあ。


*サボン シャボン(ポルトガル)1677年頃、
 はじめて江戸でシャボン玉屋が行商して流行。

 一合より九合限りの富士を見て
     など三国の山と云ふらん
(歌意)一合目から九合目までしかない富士
 山を見て、なんで三国一の山と云うのかな。
 三石にも足りないや。


*1+2+・・・+9=45合=4升5合
*三国と三石をかける。1石は10斗、
 三国一 (室町時代の流行語)日本・唐土・
 天竺にわたって第一であること。

*麓近道(ふもとのちかみち) 上州
 の狂歌作者;1787「才蔵集」入;


*紀躬鹿(きのみじか、井上作左衛
 門) 評定所役人、牛込御徒町狂歌
 ;「後万載集」6首/「才蔵集」7首入;




 (44)
   
半掃庵也有 (はんそうあんやゆう)
 わすれてハ
  うちなけかるゝ
     夕へかなと
  物おほえよき
    人ハよみしか

    
紀月兼(きのつきかね)
 うき名のミ 雲を霞と
  あかつたり
    あハぬ ひばりの
      落る涙に
    浮き名のみ雲を霞とあがったり
        逢はぬひばりの落ちる涙に
(歌意)浮き名だけが雲を霞と上がってしまった。
 彼女に逢えない日。雲雀のように舞い上がる憂
 き名。落ちるは我が涙だけ。悲しいなあ。

○雲を霞と 一目散に逃げて姿をくらませるさま。
*逢わぬ日の「ひ」と ひばりの「ひ」が掛詞。 
*浮き名・憂き名 
*あがったり・落ちる 対語 
 忘れては打ち嘆かゝる夕べかなと
      物覚え良き人は詠みしか
(歌意)「この夕べのことを忘れては大変に
 嘆かれてしまう」と物覚えのよい人なら
 あの歌を思い浮かべて歌を詠んだそうだ。


○(本歌)忘れては打ち嘆かるる夕べ かな 
     我のみ知りて過くる月日を
     式子内親王 新古今集

*半掃庵(はんそうあん) → 也有
 (やゆう・横井、俳人/詩歌)江戸中期
 の俳人。通称孫右衛門。別号に野
 又、野有,暮水(和歌名)、蘿隠(漢
 詩名)、螻丸(狂歌名)など。名古屋
 の人。時衡と久留女の子。横井家
 は尾張(名古屋)藩の名門。著述は
 多く、『羅葉集』『管見草』『美
 南無寿比』『的なし』などの俳諧
 関係書や漢詩文集『蘿隠編』、そ
 して狂歌集『行々子』などもあ
 る。(1702~1783


*紀月兼(きのつきかね) ? ー? 狂歌
 :1787才蔵集入、記のつかぬと同一
 か。 記のつかぬ(伊勢屋清左衛門)



 (45)
     
石田未得(いしだみとく)
 だきつきて こよひハ
  われを しめころせ
  あふにかへんと
     いひし命そ
 

     つふり光
 北むきハ いつれも
  毒としりなから
   堪忍ならぬ
    河豚とよし原
    北向きはいずれも毒と知りながら
         堪忍ならぬ河豚と吉原

(歌意)北向きはどれも毒であることを知り
 ながら、我慢出来ないのは河豚を喰うこと
 と吉原(北国)遊びだなあ。


*北向き 僧の隠語で、女犯(によぼん)。
*北国。北国 吉原(江戸城の北にあたるの
 でいう) 新吉原の異称。
北枕 死人の北枕。
 挿絵の頭ひかりがもたれている引出しの
 字は「待ちや」(まちちや)と読むか。
 浅草聖天山、待乳山(真土山)近くの店の
 名か。
  抱きつきて今宵はわれを絞め殺せ
     逢ふにかへんと云いし命ぞ
(歌意)抱きついて、今宵はわれを絞め殺せ。
 お前に逢えるものなら命に換えても良い我が
 命だから。


○(本歌)命をば逢ふにかへんと思ひしを
     恋ひしぬとだに知らせてしかな 
    寂超法師(藤原為経)千載集十一恋

*石田未得(いしだみとく・石田、
 通称又左衛門、乾堂/巽庵)江戸
 両替商/剃髪/俳人;江戸五哲の1、
 「謡誹諧」独吟百韻、65「雪千句」入、
 69息未琢みたく「一本草」入(未得
 の終焉の記録入)、狂歌家集「吾吟
 我ごぎんわが集」、行風「古今夷曲
 集」63首入。(1578ー1669)


*頭光(つむり‐の‐ひかる)
 江戸後期の狂歌師。江戸の人。
 本名、岸宇右衛門。別号桑楊庵
 (そうようあん)・2世巴人亭。
 江戸日本橋亀井町の町代で、
 蜀山人に師事。狂歌四天王の一
 人。[1754~1796]



 (46)
    大井千尋(おおいのちひろ)

さえかへる 寒さに 霜の
    ふるはかま
  ひたの細江の
    春のあけほの

    小川町住(おがわまちずみ)
しけりつる 
  このも かもの
 事はかり
 さんやかえりの
  目につくは山
   繁りつるこのもかのもの事ばかり
      さんや帰りの目につくば山 
(歌意)山谷帰りは、そこもここも、熱々の
 男と女ばかりが目につく筑波山だ。遠くに
 見える筑波山も男女二峰の恋の山が青々と
 繁って見える。
 (山谷帰りはあちこち御しげりだ。)


*さんや(山谷・三野・三谷)1657年(明暦三)
 の大火に元吉原町の遊郭が類焼して、さんやに
 仮営業して新しい遊郭ができたから、新吉原の
 称ともなった。
*しげ・る (男女がむつまじく情を交す)と
 茂る・繁る。
*御しげり(遊里語) 男女が情を交わすこと。 
(目に)附く 筑波山とを掛ける洒落。
*このも‐かのも(此の面彼の面)あちこち。
○筑波嶺の 峯より落つるみなの河(男女ノ川) 
      恋ぞ積もりて淵となりける 
   後撰集 巻十一恋三776 陽成院
○筑波嶺のこのもかのもに影はあれと
   君かみかけにますかけはなし
   古今集 巻二十 東歌:ひたちうた1095
   冴えかへる寒さに霜のふる袴
       ひたの細江の春のあけぼの
(歌意)(斐太の細江に住む菅鳥のように
 あなた恋い焦がれて夜を過ごしていたら)
 明け方の凍える寒さに古袴に霜が降って
 霜降り袴になってしまった
 袴の襞の細え(斐太の細江)ほどわずか
 だが春の曙が見えた。


 (下記の本歌を踏まえるか。)
*降る・古。
*襞の細重・斐太(飛騨)の細江。
○本歌 白真弓斐太の細江の菅鳥の
     妹に恋ふれか寐を寝かねつる
      万葉集巻十二3092
*大井千尋(おおいのちひろ) →
 山陽(さんよう・芝の屋/司馬の屋、
 小島市右衛門/能勢のせ嘉門) 江
 戸狂歌/狂詩・南畝門、旗本千村邸
 内に住、中良・菅江・橘洲門/四方側
 判者、雅望・眞顔の宗匠事件主謀。
 「狂歌立雲集」「狂歌年代記」「布
 毛等濃夷詞」「浅間山麓の石」/編、
 「芝の屋集」、「才蔵集」入]。通称;
 内記。(?ー1836?)


*小川町住(おがわのまちずみ、大高
 おおたか仁助にすけ) 高松藩士/江
 戸小石川藩邸(小川町中屋敷)に住、
 狂歌・四方連、1785「徳和歌後万載
 集」・87「狂歌才蔵集」入、[待ちわび
 し妻戸をたゝく主は誰たそまただ
 まされし二度のくゐなに](才蔵集;




 (47)
    
花道(はなみち)つらね
 おほけなく
 柿の素袍に
 おほふかな
 わかたつ
 芝居みやうか
 あらせ給へや

     
唐来参和(とうらいさんな)
 なれもまた 思ひに
   身をや こかしけん
 灰毛の色の 猫の妻恋
 汝(なれ)もまた思ひに身をや焦がしけむ
     灰毛の色の猫の妻恋
(歌意)お前もまた恋の思いに身を焦がして
 いるようだ。灰毛の色の猫の妻恋。
 (私もまた年甲斐もなく恋の思いに身を焦
 がしているとは。白髪頭のまるでさかりの
 ついた猫の妻恋のようだ。)



*挿絵の唐来参和は雅楽の笙を火鉢であたた
 めている。後ろは楽太鼓。

○なれもまた思ひに燃えてかげろふの
   をのの浅茅に問ふ蛍かな 新葉集

  おほけなく柿の素袍におほふかな
    我が立つ芝居冥加あらせ給へや
(歌意)恐れ多くも柿色の素袍をまとって演じ
 ているわが芝居、「暫」が大当たりしますよう
 に。われに神仏のご加護がありますように。


*江戸時代、十一月の顔見世狂言では必ず「暫」
 が上演され、「暫」のつらねで「東夷南蛮北狄
 西戎 、四夷八荒 天地乾坤 ・・・、 柿の素袍
 を今茲 に、この身に重き 大太刀 ・・・」と
 口上を述べた。
○本歌 おほけなく浮世の民におほふかな
      我が立つ杣に墨染の袖 慈
          円 千載集 
○本歌  阿耨多羅三貌三菩提(アノクタ
 ラサンミャクサンボダイ)の仏達
    わかたつ杣に冥加あらせ給へ 
         新古今集 伝経大師
*おけなし 身のほどをわきまえない。
      身分不相応である。
*素襖 直垂(ひたたれ)の一種。大紋から変化
 した服で、室町時代に始まる。もと庶人の常服
 であったが江戸時代には平士(ひらざむらい)・
 陪臣の礼服となる。
*花道つらね 市川団十郎(5代)
 江戸時代中期-後期の歌舞伎役
 者。四代市川団十郎の子。若衆
 方、実悪(じつあく)、実事(じつ
 ごと)、女方をこなし、安永-天明
 の江戸歌舞伎全盛期の花形役者
 となる。寛政三年鰕蔵(えびぞう)
 と改名。江戸出身。俳名は白猿。
 狂歌名は花道のつらね。屋号は
 成田屋。(1741ー1806)


*唐来参和(とうらい‐さんな)
 (名は三和とも書く。拳けんで数
 を表す語をもじった名) 江戸後期
 の狂歌師、洒落本・黄表紙作者。
 加藤氏。通称、和泉屋源蔵。武士
 の出で、後に町人となり、本所松
 井町の娼家和泉屋に入婿。狂歌は
 四方赤良の門。
 洒落本「和唐珍解」、黄表紙「莫
 切自根金生木(きるなのねからか
 ねのなるき)」など。(1744ー1810)




 (48)
  遊女岩越(いわこし)

 たハれおか よし原
  ちかき 紅葉狩
 をにこもれると
  人なとかめそ


  (ねぐら)出隆久(でたかく)
 もちあくる
 むくらの
  宿の垣にさく
 朝顔も日を
 いとひこそすれ
  持ちあぐる葎(むぐら)の宿の垣に咲く
       朝顔も日を厭ひこそすれ
(歌意)扱い兼ねる程葎(むぐら)の生い茂
 った宿の垣根に、朝顔は陽射しをかばって
 健気に咲いていることだなあ。

*むぐら 葎とむぐら(もぐら)
もぐらが地面を持ち上げる意も掛ける。
*八重葎繁げる宿にはまつ虫の
     声よりほかにとふ人もなし 
      古今和歌六帖 
  戯れ男(たわれお)か吉原近き紅葉狩り
       鬼籠もれると人なとがめそ

(歌意)戯れ男が吉原近くで紅葉狩り。
 「紅葉山には怖ろしい鬼女が隠れているよ」
 と脅かす世の人よ、紅葉狩りの男をとがめ
 ないで。近くの吉原で大勢の美女がお客を
 待っているわ。

*紅葉狩 能の一。観世信光作。平維茂が戸
 隠山で、美女に化けて紅葉狩する鬼女にめ
 ぐり逢い誘惑されかかるが、ついに退治する。
*岩越(いわこし・遊女) 吉原京町岡
 本楼遊女、狂歌:南畝門。1787才蔵
 集1首


*塒(ねぐら)出隆久 平花庵雨什
 ( へいかあん-うじゅう )江戸
 時代後期の狂歌師。江戸に住み、
 のち上野(こうずけ)(群馬県)高崎
 に移住した。四方側の判者。別号
 に塒出鷹久。(?-1814)




 (49)
   手柄岡持(てがらのおかもち)

  つるき羽の
  けんお祓を
 ふりたつる
 五十鈴の川の
   をしの振舞


    問屋酒船(とんやのさけふね)
 はらのたつ
  事こそなけれ
   世にふるを
 をさな心に 
  はふて遊べば
   腹の立つ事こそなけれ世にふるを
      幼心に這ふて遊べば

(歌意)幼心のままに這って遊べば腹の立つ
 事などなく世間を渡って行けるものを。
(そうではないので腹の立つことばかりだ。)
 
(逆説的表現)

*立つ・這う 対語。

   つるぎ羽の剣おはらいを振り立つる
    五十鈴の川のをしの振る舞い

(歌意)剣羽を振り立てゝ剣お祓いをする
 伊勢の御師の振舞は、五十鈴川で泳ぐ
 おしどりの仕草にそっくりだ。

○池水にをしの剣はそば立てて 
   妻あらそひのけしき激しき 
     藤原信実 夫木和歌抄
*つるぎば(剣羽)オシドリの雄の両側に
 ある、イチョウの葉の形をした美しい羽。
 いちょうば。おもいば。
*おし(鴛鴦(オシドリ)と御師。を掛ける。
*御師(御祷師の略))伊勢神宮神職で、年末
 に暦や御祓(おはらえ)を配り、また参詣者
 の案内や宿泊を業とした者。
 伊勢ではオンシという。
*手柄岡持(てがらおかもち)
 朋誠堂喜三二(ほうせいどう‐
 きさんじ)江戸後期の戯作者・
 狂歌師。本名、平沢常富。別号、
 手柄岡持など。
 秋田佐竹藩士。作に黄表紙「文武
 二道万石通」、洒落本「当世風俗
 通」、狂歌集「我おもしろ」な
 ど。(1735~1813)


問屋酒船(とんやのさけふね)
 通称井上幸次郎。東都南新堀
 に住す。酒船(さけふね・問屋とい
 や/とんや、井上重[幸]二郎/春蟻)
 江戸霊岸島鉄砲洲住:狂詩/狂歌;
 本町連。後万載・才蔵集 入、
 東作「百鬼夜狂」狂歌入




 (50)
   竹杖為軽(たけつえのすがる)

 ミな人の ミとりとよへる
  かふろ松
  丈夫にならん
    色そミえける

 
   多羅井雨盛(たらいあめもり)
 今ハはや 枕の
  ちりもいとふまし
 とても涙の
   床ハ大海

  今ははや枕の塵も厭ふまじ
     とても涙の床は大海

 (歌意)今はもう枕の塵も厭うこともある
 まい。ともかく後朝の別れに、女は大泣きし、
 床は大海のようだったから。
 (今朝別れる時、相手の遊女は大泣きだった)


*枕の塵 女が男の夜伽をすること。枕の塵を
 払う。
○待つ人の来ぬよの数にくらぶれば
      枕の塵もつもらざりけり 
        新後拾遺集

*各句の頭字が「いまいとと」
 (今いとど=ますます)ますます大泣きの意か。

   みな人のみどりと呼べる禿松
     丈夫にならん色ぞ見えける

歌意)皆人がみどりと呼ぶ禿松。丈夫に育
 って大木になるように見えるなあ。
(皆が「みどり」と呼ぶ禿の少女は丈夫に育っ
 てほしいなあ。将来は松の位の大夫になるよ
 うな楽しみな色と見えることだ。)


*かぶろ‐まつ(禿松)葉の少ない松。
 二葉の松。小松。
*かぶろ(禿) 太夫・天神などの上級の
 遊女に使われる十歳前後の見習いの少女。
 やがて新造となり女郎となる。禿の名は
 わかば・みどり・しげみなどが多かった。
 (日本古典文学大系・川柳狂歌)
*松 松の位 太夫職の遊女
*折句か。各句の頭字は「みみかしい」
 (身々が強い?)
*竹杖為軽(たけつえのすがる) 
 森羅万象(しんら‐ばんしょう)
 江戸後期の狂歌師・戯作者。
 本名森島中良。通称は甫斎。
 蘭学者で平賀源内の門人。
 洒落本「田舎芝居」など多数の
 著がある。(1754~1808)


*多羅井雨盛(たらい・あめもり)
 石山人(せきさんじん)江戸中期の
 戯作)者,狂歌師。江戸の人。山東京
 伝と親しく,京伝が北尾政演(まさの
 ぶ)の画号で挿絵をつけた黄表紙に
 「是気儘作種(これはきままなさく
 のたね)」、「酒宴哉夭怪会合(し
 ゅえんかなばけもののまじわり)」
 などがある。別号に物蒙堂礼。
 物申とう礼、石山。




 (51)
   鹿島貞林
 恋風を ひきて
 わつらひ くらすこそ
 薬も君も
  あハぬ故なれ

   
橘実副(たちばなのみぞえ)
 金にならぬ
 田舎うまれの 鴬ハ
 声のなまりの
   とれぬなるへし
   金にならぬ田舎生まれの鴬は
      声のなまりのとれぬなるべし

 (歌意)田舎生まれの鴬は声はよくても
 田舎訛りが取れないから金にはならないな。
 (田舎生まれの娘は高く売れないな。
 声の訛りがとれないからお里が知れる。)


*なまり 訛り・鉛(金の縁語)。
    恋風をひきて患ひ暮らすこそ
      薬も君もあはぬ故なれ
 (歌意)恋風という風邪を引いて患い、暗い
 気分で暮らしているけれども、薬も合わない
 し、君にも逢わないからだ。


*恋風 恋心の切なさを、風が身にしみわた
 るのに譬えていう語。
*風と風邪。 風邪・患ひ・薬・縁語。

*鹿島貞林 貞林のことか?
 貞林(ていりん)
伊丹の狂歌作
 者;1679生白堂行風「銀葉夷歌集」
 33首入


*橘実副(たちばなのみぞえ、初号;
 草屋師鯵(くさやのもろあじ)
 細井八郎治)京橋/数寄屋橋狂歌;
 スキヤ連、橘洲門、若葉/万載/
 後万載/才蔵集入;(?ー1804 )



(52)
  
大屋裏住(おおやのうらずみ)
 わか家ハ
  たとへのふしの
    火うち箱
  かまちて打て
 目から火か出る

  玉簾小亀
 金いれも あきの
  夕への ふる小袖
  質草に
   をく露ハ
    なミたか
   
   金入れもあきの夕べのふる小袖
       質草に置く露は涙か

(歌意)財布も空きが目立つ秋の夕べ。泣く
 泣く質草に入れる女房の古小袖。露の涙し
 か借りることができない。

*秋・空き。 古る・旧る。
*金入れと質草 涙と小袖。草と露。縁語
  わか家は譬への節の火打ち箱
    かまちで打ちて目から火が出る
 (歌意)我が家はたとえて云えば火打ち箱。
 火打ち箱のように狭くて小さいから、框
 (かまち)で頭を打って、目から火が出る。

*火打箱・燧箱 火打道具を入れておく箱。
 狭く小さい家も形容。

*大屋裏住(おおやの-うらずみ)
  狂歌師。姓は久須美、通称白子
 屋孫左衛門、号は大奈権厚記・
 窓雪院等。天明狂歌壇の先駆者
 で本町側を主宰し、門人に手柄
 岡持・立川焉馬等がいる。また
 鷺流の狂言を能くし、野呂松人
 形の名手でもあった。
 (1734‐1810)。


*玉簾小亀 不詳





 (53)
   
油烟斎貞柳(ゆえんさいていりゅう)
 かりの世に
 違乱ハまうすましく候
 後日のために
   南無阿弥陀仏

   
山手白人(やまてのしろひと)
さほ姫の いとまこひして
ゆく春の うしろすがたや
    藤のさげ髪
    佐保姫の暇乞ひしてゆく春の
        うしろ姿や藤のさげ髪
 (歌意)春の女神佐保姫は暇乞いして
 行かれた。そのうしろ姿は藤の花の下げ
 髪。今日で春の終わり、夏の始まりだ。


○咲く藤の花の鬘か佐保姫の 
    袖の緑の松にかかれる 
       草根集正徹


   かりの世に違乱は申すまじく候
      後日のために南無阿弥陀仏
(歌意)はかない仮の世だから不平不満は
 申しません。後日のため、例の極まり文
 句の南無阿弥陀仏。
 (借金のある私だからなんの文句も申し
 ません。後日の為南無阿弥陀仏。)


*この狂歌は幕府への皮肉を込めた一首か。
*仮の世 無常な現世。はかないこの世。
 借りの世。
*借用証の定型文「異儀申間敷候。
 為後日証文仍而如件」のモジリ。

○ひとたひも南無阿弥陀仏といふ人の
  蓮の上にのほらぬはなし
   拾遺集 空也上人

*油煙斎貞柳
 (ゆえんさい‐ていりゅう)
 江戸中期の狂歌師。大坂の人。
 榎並氏。本名、永田良因、のち
 言因。通称、善八。家号は鯛屋。
 号は由縁斎・珍菓亭など。
 最初の専門狂歌師で狂歌中興の祖
 といわれる。作「家づと」「油煙
 斎置土産」など。(1654~1734)


*山手白人( やまての-しろひと)
 名は山部赤人のもじり。江戸
 中期の武士、狂歌師。評定所
 留役の旗本。天明狂歌壇のひと
 りで四方(よも)側に属した。
「徳和歌後万載集」に序文をよせ、
 29首がのる。本名は布施胤致。
 通称は弥次郎。(1737-1787)



 (54)
  
四方赤良(よものあから)
 かくはかり
  めてたく
  ミゆる世中を
  うらやましくや
     のそく月影


 
 跋
 狂極好門宿屋飯盛(さき)に五十人一首を著あらハして
 其主を()にし、今年また夷曲(いきよく)(えい)(ゑら)ひ壁と
 見ず障子に押さず、唐丸(からまる)にあたへて、世の雅観(がくハん)
 なす。予、系譜に暗しといへども(まぐさ)かる鎌倉に宿屋左衛門
 の虚址(きよし)あり。(せい)ハ其後か但、和田の一族と家の紋龍胆(りんだう)
 なれば仮令(たとえ) 七兵衛と号すとも平家の残党ならざる
 事明なり。性質、(ちよく)にして人を()せず。交遊(いやしく)
 合ん事を求めず。飲食に至りても(にく)むところもつ
 とも多し。学を好ども経生(けいせい)寒酸(かんさん)をいとひ、倭歌を
 よめども縉紳(しんしん)のむま口を嫌ふ。浮屠(ふと)をなまくさしと
 いひ、俳士(はいし)をしやら臭しと笑ふ。文を愛すれとも
 
  
   かくばかり目出度く見ゆる世の中を
      うらやましくやのぞく月影

 (歌意)このように目出度見える世の中を、
 月までが羨ましがってのぞいているじゃないか

 (目出度いって。そんなことあるわけないじゃ
  ないか。)
 
(一見現実肯定論だが逆説的比喩で世を皮肉る。

○本歌
 かくばかり経(へ)がたく見ゆる世の中に
        うらやましくもすめる月かな
          藤原高光 拾遺集

*上の歌のパロディ。

 跋
*狂極 京極をかける。京極は藤原定家の孫、
 為教(ためのり)を祖とする和歌の家筋。
*五十人一首(吾妻曲狂歌文庫出版のこと。)
*壁と見る 野暮と見なす。また、人を馬鹿にする。
*雅觀 雅鑑(がかん)おめにかけるの意の敬語。
*寒酸 貧乏。
*縉紳(しんしん)(笏(しやく)を紳(おおおび)
 にはさむ者の意) 官位の高い人。身分ある人。
*浮屠(ふと)仏陀。転じて仏寺・僧侶の意にも
 用いる。

*四方赤良(よものあから)大田南畝(おおた‐
 なんぽ)のこと。江戸後期の狂歌師・戯作者。
 幕臣。名は覃(たん)。別号、蜀山人・四方赤良・
 寝惚(ねぼけ)先生。狂詩文にもすぐれ、山手
 馬鹿人の名で洒落本も書いた。著「万載狂歌集」
 「徳和歌後万載集」「鯛の味噌津」「道中粋語録」
 「一話一言」など。(1749~1823)



(55)
まぎらかしの万葉を喰ハす。
(けう)をなせども、なめ過たる
不遜をにくむ。たゝ好むところ二番に狂歌なり。然といへ
ども、酢の過たる
(なます)退(しりぞ)け、歯ぬかりのする(あぶりもの)を吐く。
(こゝ)(しん)ぬ。(せん)実に撰せん()にして飯盛か名の(しらげ)をいとハず
(きり)
てまた()ぐ。始てともに箸を(くだ)すべきのミ。
     
平秩東作(へずつとうさく) 述
  撰者  
宿屋飯盛(やどやのめしもり)
   画工  北尾傳蔵政演 
*蔦屋重三郎(つたや‐じゅうざぶろう)
 蔦屋の主人。本名、喜多川柯理。号、
 耕書堂など。蜀山人(大田南畝)・山東
 京伝ら江戸の狂歌師・戯作者と親しく、
 喜多川歌麿・十返舎一九・滝沢馬琴ら
 も一時その家に寄寓した。通称、
 蔦重(つたじゆう)または蔦十。
 自らも狂歌・戯文を作り、狂名、
 蔦唐丸(つたのからまる)。
 (1750~1797)
*侠 おとこぎ。おとこだて。
*精らげ よりぬきのもの。

*箸を下ろす 「箸をつける」に同じ。

*北尾伝蔵政寅(山東京伝)江戸後期の戯作者・
 浮世絵師。本名、岩瀬醒(さむる)。俗称、
 京屋伝蔵。住居が江戸城紅葉山の東方に当る
 ので山東庵、また、京橋に近いので京伝と号
 した。京山の兄。初め北尾重政に浮世絵を学
 び北尾政演(まさのぶ)と号、のち作家となる。
 作は黄表紙「御存商売物)」「江戸生艶
 気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)」
 「心学早染草」、読本「桜姫全伝曙草紙」
 「昔話(むかしがたり)稲妻表紙」、洒落本
 「通言総籬(つうげんそうまがき)」など。
 (1761~1816)

*平秩東作(へずつとうさく)。
 立松東蒙(たてまつ‐とうもう)
 江戸中期の儒学者・狂歌師・戯作者。
 名は懐之。通称、稲毛屋金右衛門。
 筆名、平秩東作(へずつとうさく)。
 江戸の人。著「闔・・ェ談 ( しんやめ
 いだん ) 」「当世阿多福仮面」など。
 (1726~1789)

*宿屋飯盛(やどやのめしもり)江戸後期の
 国学者・狂歌師。江戸馬喰町の宿屋の
 主人石川雅望。狂名は宿屋飯盛。
 和漢の書に精通、狂歌師中の学者。著は
 狂歌・狂文に関するもののほか、「雅言
 集覧」「源註余滴」「しみのすみか物語」
 等。(1753~1830)

                                                       

(55)                                                   


 天明新鐫百人一首    名高き古人并に当時名
             家の秀作をあつめ是に
 古今狂歌袋(ここんきやうかふくろ)   
             画像をくハへたるなり

    
宿屋飯盛撰   彩色摺筥入 全一冊
  四方先生著    唐詩選諺解にならゐ
 狂歌選諺解   ておかしき詞を以て注す 
            中本全 一冊


 天明新鐫五十人一首
  当時の高名なる
 
東都曲狂歌文庫(あづまふりきやうかぶんこ) 狂歌人の像上に
            よミ歌をしるす
          同作 彩色摺 全一冊
 絵本武者鞋    北尾重政筆
            さいしき摺
            大本全二冊
 狂歌才蔵集       四季恋雑神祇釈教の
                狂歌をあつむ
          四方赤良撰    全二冊

 
絵本詞乃花   喜多川哥磨筆 
        
 当世四季の風俗をうつし
            上に狂歌を加ふ
             全二冊  
 
  四方のあか   
四方赤良の狂歌狂文を
             あつめたる本なり

           
 全二冊 
 
 近刻           同筆
 絵本数寄屋釜  
武者鞋或ハ風景の
             諸所ニ狂歌を加

          
全二冊
 
  狂歌髑エ(きょうかけい)

           諸家の秀逸をあつめ家々の
           風調をしらしむ狂歌師の
           自賛歌集ともいふべし 
        鹿都部真顔 撰  全一冊

  同           北尾重政筆
  絵本百千鳥
     全三冊
        
     
 書肆      東都本町筋北エ八町目通油町
         
               蔦屋重三郎   梓 

*リンク先は絵双紙屋   
 


  
  ○参考書

広辞苑五版 岩波書店
 

 
新明解古語辞典 三省堂


漢和字典 漢字源 学研


漢和大字典 三省堂 明治39年


 川柳狂歌集 日本古典文学大系57 岩波書店
 

 黄表紙川柳狂歌 日本古典文学全集 小学館
 

 江戸語の辞典 前田 勇編 講談社学術文庫
 

 故事・俗信 ことわざ大辞典 小学館 


近世風俗志(一)~(五)(守貞謾稿) 岩波文庫
 

新訂新訓 万葉集上下巻 岩波文庫


くずし字用例辞典 普及版 児玉幸多東京堂出版 


 
 ○検索サイト

古典作者事典  川野正博著


朝日日本歴史人物事典


デジタル版 日本人名大辞典


国際日本文化研究センター 和歌データベース


国文学研究資料館 日本古典籍総合目録




 底本の翻刻・解釈に関して福岡在住の
 松尾守也氏にご協力を頂きました。御礼申し上げます。
 お気づきのことがありましたらお知らせ下さい。
  和泉屋 楓 ezoushijp@yahoo.co.jp 
        @を半角に換えて下さい。

                         


ページの最上段へ戻る

     
古今狂歌袋(前編)(表紙~29丁)へ戻る

目次へ戻る

  表紙へ戻る